Nature ハイライト 発生:細胞の移動 2007年7月19日 Nature 448, 7151 発生や癌転移の際には細胞が集団で移動するが、その過程はほとんど解明されていない。今回、その手掛かりの1つが、in vivoでの細胞移動や誘導の調節の研究モデルとして威力を発揮するショウジョウバエ卵巣の境界細胞の移動の研究から得られた。ショウジョウバエに関する高度な遺伝学と革新的な生体画像化法を使い、Biancoたちは、境界細胞の移動に2つの段階があることを明らかにした。最初の段階では、細胞は速い速度で後方に移動する。この後方移動の後半と次の背面への移動の際には、境界細胞はきっちり詰まった細胞塊としてゆっくりと移動し、塊内では細胞の入れ替わりが始まる。この2つの移動様式は、受容体チロシンキナーゼのシグナル伝達経路に対して大きく異なる感受性を示す。細胞塊は1つの集団として、個々の細胞間のシグナル伝達レベルの違いを用いて、情報処理を行う。 2007年7月19日号の Nature ハイライト 医学:心房細動の危険因子 地球:ヨーロッパから離れたイギリス 進化:アフリカから出た人類 細胞:多能性幹細胞を作り出す 生物物理:タンパク質の熱力学 宇宙:イオからの大脱走 物理:ありそうもない組み合わせ 進化:選ばれたMEDEA 発生:細胞の移動 医学:老化と癌をつなぐ 目次へ戻る