海洋上層の暖かい海水とその下の冷たい海水との混合は、深層水の浮力を増大させるので、全球的な海洋循環に不可欠な要素だが、この混合がどこで起こるのかははっきりしていない。L St LaurentとA Thurnherrは、大西洋中央海嶺の頂上にある狭い水路を通って海水が流れるときに起きる混合について測定を行った。彼らが観測した混合速度は、異常に高かった。もし北大西洋海盆にある大西洋中央海嶺上の他の狭い水路でも同様の混合速度がみられるとすれば、今回の測定結果から、北大西洋海盆の他の部分全体と同程度の浮力フラックスが、これらの水路の深さで生じていることが説明できるかもしれない。そうなると、これまでは見過ごされてきた大洋中央海嶺上の狭い水路における混合が、全球スケールでの浮力フラックスに大きく寄与しているのかもしれない。