Cover Story：個人ゲノミクスの実例：娘のDNA解読を試みた父親

Hugh Rienhoffの娘は、筋肉の発達が損なわれるという珍しい遺伝条件をもって生まれてきた。この病態はマルファン症候群によく似ているが、心血管系の徴候は異なっている。ビールス症候群にも似ており、マルファン症候群かビールス症候群の未認知の型の症例である可能性がある。従来の方法では診断が下せないとわかった時点で、Rienhoffは、たった一人を対象とするゲノム解析研究に着手しようという一大決心をした。自分の娘のDNAを徹底的に調べ、自身の手で娘のゲノムの塩基配列の一部を解読しようというのである。その結果得られた娘の病歴の「表現型一覧表」などから、まれな遺伝的状態に関する有益な情報や、症状抑制に役立ちそうな治療法についてのヒントが得られた。病気の実態はまだ完全に解明されておらず、確実と言える診断もまだ下されていないが、仕事は続けられている。Rienhoffはゲノム解析だけにとどまらず、MyDaughtersDNA.orgを立ち上げた。これは、彼がこれまでに集めた情報を共有し、同じような窮地に立たされている他の家族を助けることを目的とした社会貢献ベンチャーである。表紙は、数週間前にCody Pickensが撮影した父娘の写真（News Feature p.773, www.nature.com/podcast）。

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