Nature ハイライト 認知:湿気と乾燥を見分ける 2007年11月8日 Nature 450, 7167 多くの生物体が周囲の湿度を感知する能力を備えていることは、20世紀初頭から知られていた。一部の生物にとって、この能力は生存に必須である。昆虫は、体のサイズが小さいために湿度の変化に特に影響されやすいので、この感覚を調べるのに理想的なモデルといえる。ところが、多大な努力にもかかわらず、この感覚にかかわる細胞および分子機構はいまだに不明のままである。Liuたちは今回、ショウジョウバエで湿度の感知にかかわる2種類の一過性受容体電位チャネルを見つけた。water witch(wtrw)は湿った空気の検知に、またnanchung (nan)は乾いた空気の検知に必要である。そして、これらのチャネルを発現するニューロンは、ショウジョウバエの触角の特定の感覚毛に神経支配を送っている。相反する環境変化を検知できるようにする感覚様式として機械感覚が使われている可能性がある一方で、こうした相反する手掛かりが、周囲の湿度の微細な変化の検出を可能にしているのかもしれない。 2007年11月8日号の Nature ハイライト 宇宙:土星の自転の謎 気候:成層圏オゾンの侵入 化学:有機金属化学 細胞:伝えるしっぽ 生化学:高精度のタンパク質構造予測 物理:ボーズ-アインシュタイン凝縮体を用いた共振器量子電気力学 環境:埋もれた炭素の安定性 発生:心臓の非対称性 認知:湿気と乾燥を見分ける 細胞:遺伝子抑制タンパク質 目次へ戻る