Nature ハイライト 環境:埋もれた炭素の安定性 2007年11月8日 Nature 450, 7167 地球の土壌には、バイオマスや大気に含まれる炭素よりも大量に炭素が貯蔵されている。今回新たな実験的証拠によって、植物由来の新鮮な炭素が下層土に供給されると微生物の活動が刺激されて、数千年にわたって貯蔵されてきた炭素が無機物化することが示唆された。このことは、地中深くで有機炭素が保存されるのは分解生物が使えるエネルギーが乏しいからだという、最近提唱された説の裏付けとなる。つまり、地中深くに大量に貯蔵されている炭素は、新鮮な炭素が供給されなければ、将来の気温変動に応答せず、地球温暖化と土壌有機炭素の分解の間に予測されている正のフィードバックは限定的なものとなると考えられる。今回の結果は、土壌断面に沿って新鮮な炭素の供給を増加させるような管理作業(深い耕運、根系の大きく広がった耐乾性作物の利用など)が、このずっと昔に埋もれた炭素の放出を促進する可能性を示しているのかもしれない。 2007年11月8日号の Nature ハイライト 宇宙:土星の自転の謎 気候:成層圏オゾンの侵入 化学:有機金属化学 細胞:伝えるしっぽ 生化学:高精度のタンパク質構造予測 物理:ボーズ-アインシュタイン凝縮体を用いた共振器量子電気力学 環境:埋もれた炭素の安定性 発生:心臓の非対称性 認知:湿気と乾燥を見分ける 細胞:遺伝子抑制タンパク質 目次へ戻る