金属酸化物の特性は、結晶格子中に割り当てられた空間を酸素原子が占める程度に応じて大きく変化する。酸素欠損(格子から酸素原子が抜けた場所)をよく考えて配置することによって、そのような材料の電子的特性を変化させることができる。D A Mullerたちは、微細制御された酸素欠損プロファイルを持つチタン酸ストロンチウム膜を作成したことを報告している。この結果はエレクトロニクス用途向け金属酸化物の特性最適化につながりうる。酸素欠損の検出および可視化は従来の方法では非常に困難である。このため Mullerたちは試料を分析する新しい技術の開発も行い、1〜4個の酸素欠損のクラスターまで分解能を向上させた。この技術は、酸化物のみならず、より一般的に結晶材料における個々の空孔やそれらのクラスターの微視的な研究への道を開くものだ。