Nature ハイライト

進化:離陸OKだった始祖鳥の脳

Nature 430, 7000

世界で最も有名な化石の1つに現代の画像化技術を施したところ、最古の鳥類に飛翔能力が備わっていたことがはっきりした。ロンドンにある自然史博物館の「お宝級」所蔵品の1つに、1億5,000万年前に生きていた化石鳥類である始祖鳥(Archaeopteryx)の「ロンドン標本」がある。始祖鳥は、翼についたかぎ爪や長い骨のある尻尾といった爬虫類の特徴と、風切羽が整列した翼といった鳥類に近い特徴とをあわせもっていることから、1861年に初めて記載報告されて以来、その進化をめぐって論争が繰り広げられてきた。 特に問題となったのは、始祖鳥はどの程度飛べたのかということである。この疑問の答えを得るため、A C Milnerたちは今回、CTスキャンを使って始祖鳥のロンドン標本の脳頭蓋構造を調べた。その結果、始祖鳥は視覚がよく発達しており(視覚に関係する脳領域が大きいことから判定できる)、それに加えて空間知覚もかなり発達していることから、現生鳥類に非常に近いことがわかった。こうした結果を踏まえてMilnerたちは、始祖鳥が完全な飛翔能力を備えていたものと結論づけている。

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