Nature ハイライト 医学:骨吸収を抑える 2009年3月26日 Nature 458, 7237 骨は動的な組織で、常に成長、リモデリング、破壊という過程を繰り返している。これらの過程の中心となるのは破骨細胞で、これは単核マクロファージ-単球系造血性前駆細胞から分化した骨吸収性の多核巨大細胞である。通常、骨吸収は骨形成性骨芽細胞の活動と釣り合っているが、骨粗鬆症などの骨破壊性疾患では、破骨細胞の活動性が骨芽細胞の活動を上回るようになる。今回、ホルモン欠乏性骨粗鬆症のマウスモデルを用いて、血液によって運ばれる脂質メディエーターのスフィンゴシン1-リン酸が骨の脱塩の重要なメディエーターであることが明らかになった。スフィンゴシン1-リン酸は、破骨細胞前駆細胞の遊走特性を制御することによって、骨の恒常性を制御している。スフィンゴシン1-リン酸は、破骨細胞発生の重要な制御点として、骨吸収性疾患の治療標的となるかもしれない。 2009年3月26日号の Nature ハイライト 進化:初期の硬骨魚類の姿 生化学:snurpがイントロンを切り出す仕組み 宇宙:風と共に去りぬ 物性:スピン起電力 地球:小プリニウスが見落としたもの 免疫:自然免疫系のセンサー 医学:骨吸収を抑える 生化学:ニコチンの二重生活 目次へ戻る