Nature ハイライト

Cover Story:ナノチューブのジッパーを開ける:グラフェンナノリボンを使うエレクトロニクスへの道

Nature 458, 7240

グラフェンナノリボン(GNR)は、原子1個分の厚さをもつグラファイトの長いひもで、将来の電子デバイスで主役を演じるだろうと予想されている。グラフェンは導電体だが、GNRはその幅に応じて異なる電子的特性を示す。こうした調節可能性があるため、グラフェンナノリボンは、場合によってはカーボンナノチューブよりも魅力的な材料となりそうだ。そして、次なる難問は、GNRの大量生産である。リソグラフィー法や蒸着法など、さまざまな作製方法が試みられてきたが、今回2つの研究グループがそれぞれ、カーボンナノチューブからGNRを作製する新しい方法を報告している。ライス大学(米国)のチームは、過マンガン酸塩を用いて多層カーボンナノチューブを切り開き、グラフェン酸化物をまず形成してから、それを還元して電気伝導性を回復することで、幅100 nmのナノリボンを作製した。単層ナノチューブを使うともっと細いGNRが得られるのだが、リボンをほどくという作業が必要となる。スタンフォード大学(米国)のチームは、部分的にポリマーに埋め込まれたナノチューブをプラズマエッチングにより切り開いて、エッジが滑らか(電気的特性にとって望ましい)で幅の分布が10〜20 nmという狭さのGNRを作製した(Letters pp.872, 877, N&V p.845, www.nature.com/podcast)。

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