Nature ハイライト 進化:サンゴ一族の断絶が露見 2004年2月26日 Nature 427, 6977 地球上のサンゴ類は突き詰めると、大きな一族としてひとくくりにはできないらしい。遺伝学研究によると、大西洋に生息するサンゴ類の一部は、3,400万年以上も前に他の系統から分かれたものだという。大西洋産サンゴの多くは、太平洋に分布する類似種よりも、同じ大西洋に分布するお互いどうしのほうが類縁関係が近いことを、N Knowltonたちが報告している。すべてのサンゴ種が共有する特定遺伝子の塩基配列を調べたところ、この発見に至ったのだ。サンゴの進化は遅いため遺伝子配列の違いは小さいが、それでも有意な差がある。この知見は生物保全戦略にも影響を及ぼすはずだと、Knowltonたちは考えている。太平洋のサンゴ礁は重要な「生物多様性のホットスポット」だと一般にみなされている。しかし今回の発見により、大西洋産サンゴが世界の各海域の他のサンゴとは一線を画するものだと明らかになった。となれば、絶滅の危惧されるカリブ海サンゴ礁の減少は、保全活動家たちの懸念以上に悲しむべき出来事だといえよう。 2004年2月26日号の Nature ハイライト 進化:サンゴ一族の断絶が露見 医学:HIVを抑えるタンパク質 微生物学:鉄を腐食させる海洋微生物 医学:ALSで見つかった分子の異常 宇宙:宇宙の暗黒時代を照らす 海洋:太平洋の最深部で水温が上がっている 物理:瞬間を見る 目次へ戻る