Nature ハイライト 量子情報科学:量子コンピュータへの着実な進歩 2009年7月9日 Nature 460, 7252 量子力学の2つの重要な性質、つまり物理状態の重ね合わせと量子もつれを用いることで、いずれは量子コンピュータの性能が古典コンピュータより優れたものになる可能性がある。今回エール大学の研究チームは、このゴールに向けた重要な一歩を達成した。初めて固体量子プロセッサーを実証し、このプロセッサーを用いて2つの量子アルゴリズムを実行したのである。数個の量子ビットによる量子プロセッサーは、核磁気共鳴、冷却イオントラップ、光学系などのいずれも従来型のコンピュータとはほとんど似ていないものを使って、既に実証されている。今回の新しいプロセッサーは、従来型のナノ製造技術により作製された超伝導量子回路を使っている。量子コンピュータが古典コンピュータに挑戦できるようになるのは、まだ先の話だ。このプロセッサーは極めて単純で、たった2個の量子ビットしか含まず、絶対零度より数分の1度高いところで動作する。だが、このチップは実際に動作する小規模な量子コンピュータに不可欠な特徴はすべて備えており、より多くの量子ビットやより複雑なアルゴリズムへ拡張可能なことが立証されるかもしれない。 2009年7月9日号の Nature ハイライト 宇宙:銀河とブラックホール 進化:次の環境変化に備える微生物 医学:失明の初期サイン 免疫:B細胞で後から起こるDNA切断 宇宙:z > 2の2つの超新星 量子情報科学:量子コンピュータへの着実な進歩 ナノテクノロジー:DNAでナノチューブを選別する 医学:脂肪細胞と造血能の関係 目次へ戻る