Nature ハイライト 医学:失明の初期サイン 2009年7月9日 Nature 460, 7252 加齢黄斑変性症(AMD)の患者は世界で3,000万人以上に上り、高齢者の主要な失明原因となっている。失明につながる血管新生を伴う型のAMDの標準治療薬は抗VEGF薬で、主にラニビズマブ(商品名ルセンティス)とベバシズマブ(商品名アバスチン)が使われている。しかし、これらで視力が改善されるのは患者の3分の1にすぎず、また、VEGFは正常な網膜機能に重要な役割を果たしているため、これらの薬が毒性を示すことも懸念されている。今回マウスモデルで、AMDの早期検出マーカーとしてサイトカイン受容体CCR3が同定され、早期診断が可能になりそうだ。もしも早期診断ができれば、臨床予後の改善に大きく貢献するだろう。さらに、CCR3やそのリガンドを標的とすれば、新生血管の網膜浸潤が抑制され、安全な代替治療法につながる可能性がある。 2009年7月9日号の Nature ハイライト 宇宙:銀河とブラックホール 進化:次の環境変化に備える微生物 医学:失明の初期サイン 免疫:B細胞で後から起こるDNA切断 宇宙:z > 2の2つの超新星 量子情報科学:量子コンピュータへの着実な進歩 ナノテクノロジー:DNAでナノチューブを選別する 医学:脂肪細胞と造血能の関係 目次へ戻る