Nature ハイライト 医学:H1N1ウイルスを調べる 2009年6月25日 Nature 459, 7250 ブタに由来する新型インフルエンザA/H1N1ウイルスの系統発生解析から、このウイルスはトリ、ブタ、ヒトのウイルスに由来する遺伝子をもつ再集合体であることが示唆された。パンデミックを引き起こしたこのウイルスは、ヒトへの感染前はブタインフルエンザのゲノム配列に特有な様式で進化してきたらしく、ブタで伝播している数種のウイルスに由来している。ヒトへの最初の感染は、爆発的流行が確認される数か月前に既に起こっていたらしい。遺伝学的サーベイランスにおけるこの時間的空白の見積もりから、ブタインフルエンザ系統の遺伝子再集合からヒトへの伝播までには数年かかったと考えられ、遺伝学的祖先が複数であることは、このウイルスが人為的起源をもつという説とは一致しない。この研究によって明らかになった情報の空白部分から、パンデミックを起こす可能性のあるウイルス系統をヒト集団へ入り込む前に見つけ出す手段としての、ブタのインフルエンザの体系的サーベイランスの必要性がはっきりした。 2009年6月25日号の Nature ハイライト 植物:植物ホルモンがいっぱい! 発生:細胞の寿命を延ばす再プログラミング 腫瘍:ゴルジ体に関連するがん遺伝子 宇宙:エンセラダスに海はあるのか、ないのか 工学:カメラがとらえた流れる粒 医学:H1N1ウイルスを調べる 医学:ダウン症候群とがん 発生:心拍動が作る血液細胞 目次へ戻る