Nature ハイライト 発生:心拍動が作る血液細胞 2009年6月25日 Nature 459, 7250 脊椎動物の胚では心拍動の開始に続いて、大動脈、胎盤血管、臍帯動脈や卵黄動脈の管腔表面を覆う細胞が造血細胞を作り始める。心拍動は血流と血管壁のずり応力を生じ、これによって血管壁に加えられる生体力学的な力が早期の血液細胞の産生のきっかけとなると考えられてきた。Adamoたちは、in vitroおよびマウス胚で分化させたマウスの胚性幹細胞を使って、流体によってずり応力が加えられることが、造血コロニー形成能と造血マーカー発現の増加につながることを、in vivoとin vitroの両方で明らかにしている。血流の開始と胚の血液細胞の発生の間のつながりが確証されたことは、幹細胞治療に利用可能な造血前駆細胞産生研究への新たな指針を与える。 2009年6月25日号の Nature ハイライト 植物:植物ホルモンがいっぱい! 発生:細胞の寿命を延ばす再プログラミング 腫瘍:ゴルジ体に関連するがん遺伝子 宇宙:エンセラダスに海はあるのか、ないのか 工学:カメラがとらえた流れる粒 医学:H1N1ウイルスを調べる 医学:ダウン症候群とがん 発生:心拍動が作る血液細胞 目次へ戻る