Nature ハイライト 医学:ダウン症候群とがん 2009年6月25日 Nature 459, 7250 ダウン症候群の患者では、いくつかの固形腫瘍の発症率が低いことが知られている。Baekたちの新たな研究により、21番染色体遺伝子Dscr1(Down’s syndrome critical region-1をコードする)を1つ余分にもつマウスが、血管新生の低下による腫瘍の増殖抑制を示すことが明らかになった。Baekたちは、Dscr1の若干の発現増加が、21番染色体にある別の遺伝子Dyrk1aと共に働いて、カルシニューリン経路の活性を弱めることによって血管新生を制限することの証拠を示している。これらのデータは、ダウン症候群でのがん発生率低下の機序を明らかにし、またカルシニューリンシグナル伝達系とその調節因子であるDSCR1とDYRK1Aが、ヒトがんの治療における有望な標的であることを明らかにしている。 2009年6月25日号の Nature ハイライト 植物:植物ホルモンがいっぱい! 発生:細胞の寿命を延ばす再プログラミング 腫瘍:ゴルジ体に関連するがん遺伝子 宇宙:エンセラダスに海はあるのか、ないのか 工学:カメラがとらえた流れる粒 医学:H1N1ウイルスを調べる 医学:ダウン症候群とがん 発生:心拍動が作る血液細胞 目次へ戻る