Nature ハイライト 地球:矛盾する断層の弱さ 2009年12月17日 Nature 462, 7275 カリフォルニアのサンアンドレアス断層などの一部の地殻内断層には、摩擦強度実験から予想されるよりもかなり弱いと思われるものがあるが、その理由はいまだにわかっていない。この矛盾に取り組むために、Collettiniたちは、イタリアのエルバ島にあるZuccale断層で得られた岩石について摩擦実験を行った。そして、よく発達した葉状構造、つまり縞状組織をもつ試料は、それらを粉状にした場合に比べて極端に弱く、断層全体の岩石にほんの一握りの弱い鉱物相があると断層が弱くなることがわかった。摩擦滑りは、断層帯に潤滑作用をもたらす葉状ケイ酸塩(滑石などの弱い鉱物)からなる、極めて細かい葉状構造に沿って起きる。葉状の断層岩が発達した断層帯に広く分布していることは、この機構が断層弱化の一般的な説明となる可能性を示唆している。 2009年12月17日号の Nature ハイライト 地球:海水準上昇に関するモデル 遺伝:変異の親起源と発症リスク 細胞:SUMOとDNA修復 宇宙:注目すべき巨大地球型惑星 宇宙:カイパーベルト天体による星食 顕微鏡法:電子と光子を使う顕微鏡 地球:矛盾する断層の弱さ 神経:記憶にかかわるシナプス構造 目次へ戻る