Nature ハイライト

遺伝:変異の親起源と発症リスク

Nature 462, 7275

全ゲノム関連解析(GWAS)によって、遺伝子の塩基配列変異とヒトの形質との間に多数の関連があることが明らかになっている。しかしながら、こうした研究の大半では、母由来の対立遺伝子と父由来の対立遺伝子を互換可能なものとして扱っているため、塩基配列変異が父母のどちらに由来するかで表現型にどのような影響が出るのかはほとんどわかっていない。今回、系図学と広域相解析(long-range phasing)とを組み合わせて、大半の対立遺伝子に関して父母のどちらに由来するか(親起源)を同定できる新規のGWAS手法が開発され、3万8,000人を超えるアイスランド人の遺伝子型が調べられた。その結果、複合疾患との関連が既に明らかになっている5つの一塩基変異(乳がん1つ、基底細胞がん1つ、2型糖尿病3つ)の影響が、どちらの親由来かに依存することが明らかになった。また、新たに見つかった1つの変異は、母由来の場合には予防的に働くが、父由来の場合には糖尿病の発症リスクにかかわる因子として、TCF7L2遺伝子の変異に次ぐ第二のリスク因子となる。

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