Nature ハイライト

がん:がん遺伝子の機能獲得型変異

Nature 460, 7257

正常なヒト細胞は、両親それぞれに由来する完全な染色体セットをもっているが、がんの中には、特定の染色体の一部分が2つとも片方の親由来というものがあり、この現象は後天性の片親性二倍体とよばれている。骨髄腫瘍患者から採取した200例を超える骨髄試料のゲノムDNA解析から、第11染色体の一部の2つのコピーの両方が片方の親由来という例が高率でみられることがわかった。こうした例では、腫瘍抑制因子C-CBLの機能獲得変異が生じており、これが繊維芽細胞をがん化し、サイトカイン刺激に対して造血細胞の感受性を増加させる。今回のデータは、c-Cblは増殖抑制型の腫瘍抑制遺伝子でありながら、変異が起こると、増殖を促進するがん遺伝子となるという考え方を裏付けており、これは腫瘍抑制遺伝子p53で明らかにされているのと同じ状況である。

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