Nature ハイライト 地球:酸素の増減の歴史 2009年9月10日 Nature 461, 7261 地球大気の酸素化は2つの大きな段階を経て起きたと考えられているが、この過程の詳細はまだよくわかっていない。Freiたちは、縞状鉄鉱層(大量の酸素を鉄酸化物として含んでいる堆積岩)から得られたクロム(Cr)の安定同位体を用いて、先カンブリア時代の海洋におけるCr(VI)の存在を追跡し、地球の気圏−水圏系における酸素化の時間分解された描像を得ている。彼らのデータは、24億5千万〜22億年前の最初の大規模な酸素の増加(大酸化事変)に先だって、大気と海洋表層の酸素化が一時的に高まったことを示唆している。そして、18億8千万年の年代をもつ古い縞状鉄鉱層にはCr同位体の分化がみられず、これは大気酸素濃度が低下したことを示している。したがって、大酸化事変以後、大気中の酸素は段階的増加の一途をたどったというわけではないようだ。 2009年9月10日号の Nature ハイライト 細胞:mRNAの分解は翻訳中に始まる 細胞:テロメア以外にもかかわるTERT 宇宙:月で見つかった純粋な斜長岩 量子情報科学:光をスライスし切り刻む 化学:薄くなったゼオライト触媒 地球:酸素の増減の歴史 脳科学:決断を変えるとき 免疫:アポトーシス細胞が除去の標的となる仕組み 目次へ戻る