Nature ハイライト 脳科学:決断を変えるとき 2009年9月10日 Nature 461, 7261 人はどのようにして気が変わるのだろうか。理論神経科学の研究領域では、「ノイズがあって」不明瞭なことの多い情報に基づいて脳が意思決定に至る仕組みをうまく説明できるモデルが、既に開発されている。しかしこうしたモデルは、いったん決定された意思が変わらないものだと想定している。今回、ノイズが入った視覚刺激を頼りに被験者がハンドルを2方向のどちらかに動かすという一連の実験が行われ、これをもとに、意思決定後にいつ、どのようにして、気が変わるのかを説明する新しいモデルが開発された。被験者が答えを選択する途中で気が変わった数少ない事例の解析により、脳は意思決定後でも、収集済みでまだ処理行程にある情報を処理し続け、最初の意思決定を覆したり、その正当性を確認したりしていることが明らかになった。この新しい理論は、意思決定過程に迷いや自己修正といった活動を導入するものだ。 2009年9月10日号の Nature ハイライト 細胞:mRNAの分解は翻訳中に始まる 細胞:テロメア以外にもかかわるTERT 宇宙:月で見つかった純粋な斜長岩 量子情報科学:光をスライスし切り刻む 化学:薄くなったゼオライト触媒 地球:酸素の増減の歴史 脳科学:決断を変えるとき 免疫:アポトーシス細胞が除去の標的となる仕組み 目次へ戻る