Nature ハイライト 構造化学:デザイナーDNA結晶 2009年9月3日 Nature 461, 7260 選んだ微視的な分子構造を使って結晶のような巨視的なものを作り出すのは、非常な難問である。有望な方法の1つは、頑丈な三次元モチーフとくっつきやすい末端をもった巨大分子を使うことだ。こうした末端どうしがくっついて周期的な配置が作られ、これは結晶構造解析の手法で調べられる。Zhengたちは、この目的のためにDNAを使って、テンセグリティー(張力統合体)三角形とよばれる構造モチーフの形に配置し、200 µm程度の大きさの結晶に成長させて、原子位置を4 Åの精度で決定できた。相補的DNA鎖の間に働く高度に特異的な相互作用によって、結晶の単位セルとして設計どおりの目的の構造が実現可能になる。また、この構造には周期的な孔があいており、この孔を使って生体分子を三次元周期配列中に取り込み、それ自体では結晶化しない生体分子の構造決定が可能になるかもしれない。 2009年9月3日号の Nature ハイライト 複雑系:臨界点の手がかり 生化学:転移RNAをあるべき場所におく 宇宙:M31を取り巻く銀河のかけら 構造化学:デザイナーDNA結晶 細胞:iPS細胞由来のマウス 細胞:タンパク質を光で操作 細胞:がん形成を促進する抗酸化物質 考古:握斧がヨーロッパに到来した時期を見直す 目次へ戻る