Nature ハイライト

Cover Story:心臓の発生と進化の関係:爬虫類の心臓の発生過程によって二心室への進化を説明する

Nature 461, 7260

鳥類、哺乳類、ワニ類は、心室が2つに分かれており、それぞれ肺循環系と体循環系に血液を送っている。両生類は1つの心室しかもたないが、ほとんどの爬虫類では、心室の中隔形成ははっきりしていない。今回、トカゲ(グリーンアノール)とカメ(アカミミガメ)を用いた新たな発生学的研究により、祖先型の一心室から二心室への分割は、T-box転写因子Tbx5の発現と関連することが示された。鳥類や哺乳類の胚では、Tbx5の発現は左心室の前駆体細胞に限られている。カメやトカゲでは、Tbx5は初めは心室全体で発現しており、カメではその後、心室の左側に限局されるようになるが、トカゲではこれが起こらない。このことは、高エネルギーを要する陸上生活への重要な適応要因である、完全な中隔をもつ心臓を形成するように胚のパターン化を進化させた駆動力が、Tbx5発現の変化であった可能性を示している。Tbx5の機能を欠失、あるいは過剰にしたマウスではっきりとした独自性をもたない単一の心室が形成されるのは、この考えと一致する結果である。表紙は、カメとトカゲの心臓の三次元描画(Letter p.95, Abstractions p.9)。

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