Nature ハイライト 物理:スピンアイスの磁流 2009年10月15日 Nature 461, 7266 電荷と電流はどこでもみられるが、それらの磁気版は見つけにくい。磁気「単極子」は、1つの極しかもたない磁石に似た、正味の磁荷をもつ粒子で、これが「スピンアイス」とよぶ磁気的にフラストレートした(スピンの向きが矛盾なく配列した状態にない)物質に存在することが最近予測され、その後実証されたことから、「磁流」が見つかる可能性のある系が使えるようになってきた。Bramwellたちは、スピンアイスであるチタン酸ジスプロシウムパイロクロア(Dy2Ti2O7)を使って、磁荷とそれらの力学が、電解質(溶液中ではイオンになり、電気伝導が可能となる物質)の理論との類似性に基づく磁荷理論によって理解できることを示した。彼らは実際に磁流を観測し、磁荷の基本単位を決定した。この発見によって、電気と磁気とが完全に対称になる一例が確立された。 2009年10月15日号の Nature ハイライト 脳:場所細胞の場所のわきまえ方 物理:スピンアイスの磁流 材料:結晶にうまくつながる準結晶 化学:α-アミノ酸を大量に合成する 地球:氷床の薄化を予測する 海洋:古細菌のアンモニア酸化 進化:「高尚な」変異株が不正を打破する 脳:読み書きを司る脳領域 生理:魅力的な口説き 細胞:主役は光 目次へ戻る