Nature ハイライト

神経:失われた眠り、取り戻される記憶

Nature 461, 7267

睡眠が妨げられると認知機能に影響が及び、記憶や学習などの障害が起こることはよく知られているが、断眠が脳の機能に影響を及ぼす機構についてはわかっていない。今回新たな実験で、サイクリックAMP経路、特に海馬のサイクリックAMP依存性プロテインキナーゼA(cAMP/PKA)に基づく可塑性の低下が、断眠が機能に及ぼす影響の標的であることが明らかになった。ホスホジエステラーゼ阻害剤によってサイクリックAMPシグナル伝達を元に戻すと、記憶障害も回復する。このことは、cAMP/PKAシグナル伝達の増強因子が、断眠が認知機能に及ぼす影響を抑止する治療法となる可能性を示している。

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