Nature ハイライト

気候:二酸化炭素濃度の低下と一致して起こった氷冠形成

Nature 461, 7267

約3,400万年前の始新世から漸新世への遷移期に、地球は寒冷化期に入り、大陸規模の氷冠が急発達して、海水準が低下した。二酸化炭素濃度の低下は、温室状態から現在の氷室状態の気候へ至る変化の重要な要因だったことが一般に認められているが、二酸化炭素と南極氷床の間の詳しい関係は十分に解明されていない。Pearsonたちは、最近タンザニアで発見さた地質断面からの極めて保存状態のよい炭酸塩微小化石から得られたホウ素同位体を用いて、始新世から漸新世への遷移期間中の大気中二酸化炭素濃度を推定した。二酸化炭素濃度は氷床の発達をもたらすと考えられるレベルよりも低下したが、その後逆に上昇してから、再度低下したことがわかった。これらの結果から、氷床発達に二酸化炭素が果たす重要な役割が確認され、二酸化炭素濃度の変化に対して氷床が非線形的な応答をすることが明らかになった。

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