Nature ハイライト

進化:真猿類に似て非なるサル

Nature 461, 7267

始新世の原始的な霊長類Darwiniusの化石「アイダ」が最近報告され、それがヒトを含む真猿類(高等霊長類)の祖先に近い「ミッシングリンク」だと主張されたため、議論が沸き起こった。古生物学者たちは気をもんだが、それは、Darwiniusが属する絶滅分類群「アダピス類」が真猿類に近いとはほとんど考えられていなかったためである。今回E Seiffertたちは、エジプトで新たに発見された3,700万年前のアダピス類Afradapisの顎と歯について報告している。これはDarwiniusの近縁種であった。精密な系統分析により、この新種はDarwiniusと同じく真猿類とは遠縁になることが明らかになったが、収斂進化を示唆する特徴がいくつか確認された。DarwiniusAfradapisが属した分類群は、中期始新世に真猿類に似た適応を収斂的に進化させたものの、結局、後期始新世および前期漸新世に真の真猿類に取って代わられたと考えられる。

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