Nature ハイライト

材料:半導体に強い味方

Nature 428, 6980

半導体を極めて薄い膜にする新しい簡単な方法が報告されている。その鍵となる材料はヒドラジン、かつてロケット燃料によく使われた液体である。 半導体はエレクトロニクスのあらゆる分野で使われている。我々が使っているコンピューターの4,200万個に及ぶトランジスタの1個1個が半導体を使っている。フラットパネルディスプレイなど特定の応用分野では薄膜の形をしたトランジスタが必要になる。しかし、適切な電子的性質を持つ薄膜材料を作製するのは難しい仕事だ。 そこでD B Mitziたちは、含まれる二硫化スズと二セレン化スズの量を慎重に調整したヒドラジン溶液を、3,500 r.p.m.で回転しているシリコンウエハ上に注いで無機薄膜半導体を作製した。回転によって液体は外側に押し出され、たった数分子の厚さしかない膜ができる。ヒドラジンによってクリーンな化学反応が可能になり、有用な電子的性質を持つ、きれいで平坦な膜が得られる。 M G Kanatzidisは「化学的には簡単だからこそ、この研究は注目に値し、技術的にも重要だ」とNews and Viewsで述べている。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度