Nature ハイライト 化学:バッキーボールが窒素を固定する 2004年3月18日 Nature 428, 6980 サッカーボール型の炭素分子が窒素をアンモニアに変換するのに役立つ。アンモニアは、肥料製造の出発物質であるため、食糧生産にとって重要な化学物質である。植村榮らは、2個のシクロデキストリン分子に包まれた炭素分子C60(バックミンスターフラーレンや「バッキーボール」の別名でも知られる)を利用して、窒素と水を結合させ、アンモニアを合成した。多くの植物は、空気中から窒素を「固定」してアンモニアを合成し、それを利用してタンパク質を合成している。工業的なアンモニア合成は、高温・高圧プロセスを用いている。しかし両者とも、不活性な窒素分子を活性化させるために金属触媒の助けを必要とする。植村たちの合成戦略は、温和な条件下で同じアンモニア合成を行うのに、非金属系の炭素分子によっているのである。 2004年3月18日号の Nature ハイライト 医学:抗癌ダブルパンチ 宇宙:天の川銀河系内の微弱なガンマ線源 医学:タンパク質だけのプリオンが持つ多彩な能力 生態:熱帯雨林の昆虫間をとりもつ共通の天敵 材料:半導体に強い味方 化学:バッキーボールが窒素を固定する 目次へ戻る