Nature ハイライト 発生:細胞の系譜を強制変更 2009年12月3日 Nature 462, 7273 多細胞生物の体制が成立するには、さまざまに特殊化した細胞がその状態を安定的に保つことが重要である。しかし、体細胞に転写因子の「カクテル」を導入して誘導多能性幹細胞(iPS細胞)を作製する技術が進歩したことで、ほとんどすべての細胞に再プログラム化能力が備わっていることが強く示唆された。このことから、細胞種間での相互転換が生理的条件下で起こるのかどうか、また病的条件下ではどうなのかという疑問が生まれる。T GrafとT Enverは、血液細胞系での例を用いて転写因子による分化転換の原理を説明し、こうした分化転換は本来的に通常の分化と類似の過程であり、iPS細胞の再プログラム化とは異なっていると結論している。彼らは、1つの細胞種から別の細胞種への転換が、正常な発生過程の1つとして起こりうると考えており、再生医学において細胞系譜を強制的に再プログラム化することの展望について考察している。 2009年12月3日号の Nature ハイライト 発生:細胞の系譜を強制変更 生化学:ユビキチン鎖の伸長 宇宙:フレアを伴うマイクロクエーサー 宇宙:大質量星の死 物理:磁場を模倣する 気候:モンスーンに対する太陽の影響 医学:Foxa2が肥満を防止する可能性 医学:軽く触れても痛い 目次へ戻る