Nature ハイライト 薬学:古い薬の新しい標的 2009年11月12日 Nature 462, 7270 ほとんどの薬剤は、単一の標的タンパク質に選択性をもつように作られているが、それ以外のいくつかの標的にも結合することが多い。なかには本来意図しない標的との「オフターゲット」な結合によってさまざまな重症度の副作用が引き起こされることもあるが、そうした結合の一部は薬効に不可欠なものである可能性がある。今週号では、既存薬がもっている可能性のある「オフターゲット効果」を見つけ出す新しい戦略が報告されている。3,665種類のFDA承認薬および治験薬について、標的タンパク質と結合するリガンドとの構造比較によるスクリーニングが、数百種類の標的タンパク質を選んでコンピューターを用いて行われた。薬剤とさまざまなリガンド群との化学的類似性から、数千のオフターゲットな結合の存在が予測され、その一部は薬理学的アッセイで確認された。この手法は、既存薬や薬剤候補の副作用を予測したり説明したりするのに役立つと考えられ、また、ヒトでの使用が既に承認されている薬剤の新たな適応症を見つけ出すことにもつながるかもしれない。 2009年11月12日号の Nature ハイライト 薬学:古い薬の新しい標的 細胞:ノッチ複合体の阻害剤 宇宙:太陽リチウムを探す 物性:グラフェンの分数量子ホール効果 気候:予想ほど暖かくなかった始生代の海洋 細胞:言語の進化 免疫:M細胞による免疫 細胞:コヒーシンのアセチル化 目次へ戻る