Nature ハイライト 細胞:言語の進化 2009年11月12日 Nature 462, 7270 転写因子FOXP2は、ヒトの発語に関係することがこれまでにわかっている唯一の遺伝子だが、対応するチンパンジーの遺伝子とほとんど違いがない。新たな実験で、FOXP2の下流の転写標的の活性化にはヒトとチンパンジーで違いがみられ、この差は両者のFOXP2にあるアミノ酸2個の違いから生じていることが明らかになった。各FOXP2が影響を及ぼす遺伝子ネットワークの相互作用の違いが、チンパンジーとヒトの脳にみられる対照的な遺伝子発現パターンに反映されている。これらのデータは、ヒト系統で起こったFOXP2の進化上の変化がヒトの脳の発生や中枢神経系の病気に直接影響し、また、ヒトの言語回路の発生に極めて重要な役割を果たしている可能性があるという説を裏付けている。 2009年11月12日号の Nature ハイライト 薬学:古い薬の新しい標的 細胞:ノッチ複合体の阻害剤 宇宙:太陽リチウムを探す 物性:グラフェンの分数量子ホール効果 気候:予想ほど暖かくなかった始生代の海洋 細胞:言語の進化 免疫:M細胞による免疫 細胞:コヒーシンのアセチル化 目次へ戻る