Nature ハイライト 物性:グラフェンの分数量子ホール効果 2009年11月12日 Nature 462, 7270 分数量子ホール効果は、二次元に閉じ込められて強磁場を印加された、強く相互作用する電荷キャリアに関係する集団的挙動の典型的な表れである。「完全な」二次元系と見なせる炭素原子層であるグラフェンの中に存在する電荷キャリアは、強い相互作用を受けると予測されている。それにもかかわらず、分数量子ホール効果はこれまで実験的に観測されたことがなかった。今回2つのグループが、宙吊りにしたグラフェンシートで二端子測定装置を使い、この分数量子ホール効果を調べたことを報告している。また、低キャリア密度では、磁場により誘起された絶縁状態が観測された。これは分数量子ホール効果と競合するため、最良質の試料でしか観測することができない。これらの結果は、グラフェンにおけるディラックフェルミオンの多様な集団的挙動の研究に道を開くものである。 2009年11月12日号の Nature ハイライト 薬学:古い薬の新しい標的 細胞:ノッチ複合体の阻害剤 宇宙:太陽リチウムを探す 物性:グラフェンの分数量子ホール効果 気候:予想ほど暖かくなかった始生代の海洋 細胞:言語の進化 免疫:M細胞による免疫 細胞:コヒーシンのアセチル化 目次へ戻る