Nature ハイライト 細胞:ノッチ複合体の阻害剤 2009年11月12日 Nature 462, 7270 ノッチ複合体は、発生段階の遺伝子転写の主要な調節因子としての役割、γセクレターゼの基質、またT細胞性白血病含む多くのがんで不適切に活性化されるがん遺伝子であるなどの性質をもつため、大いに関心がもたれている。大多数の転写因子のように、ノッチは合成された細胞透過性分子の標的にはならないと考えられていた。ところが今回、有望なノッチアンタゴニストが設計され、マウスモデルで白血病進行抑制に有効であることが明らかとなった。炭化水素固定ペプチドSAHM1は、活性型転写複合体の組み立てを妨害することで作用し、ノッチの役割を調べるための貴重な手段となると考えられ、また治療薬の出発点ともなる。さらに、転写活性化複合体の直接標的化は、以前は標的とはならないと見なされていた、ほかのいくつかの転写因子複合体にも応用可能かもしれない。 2009年11月12日号の Nature ハイライト 薬学:古い薬の新しい標的 細胞:ノッチ複合体の阻害剤 宇宙:太陽リチウムを探す 物性:グラフェンの分数量子ホール効果 気候:予想ほど暖かくなかった始生代の海洋 細胞:言語の進化 免疫:M細胞による免疫 細胞:コヒーシンのアセチル化 目次へ戻る