Nature ハイライト

進化:ウニやヒトデの祖先を探る

Nature 430, 6998

はるか太古の闇から甦った古生物たちの奇妙な姿を見れば、夏の暑さも少しは薄らぐかもしれない。脊索動物(動物界の大きな区分の1つで、ここには我々ヒトやおなじみの動物の多くが含まれる)にもっとも近い動物類は、昆虫でもカタツムリでもなく、棘皮動物、つまりヒトデ、ウニやナマコなどの仲間であると聞いたら、ちょっとはぞっとするだろうか。 棘皮動物と脊索動物は実際に、新口動物というはるか太古の時代の動物の一大区分に含まれる主要な2つの分類群である。 脊索動物と棘皮動物は特に成体では姿形がかなり違っており、新口動物の初期進化史を解き明かすことはとりわけ難しい。特にここ数年で新口動物のさまざまな化石が発見され、さらなる議論の火種となっている。こうした化石の多くには現在ではもう存在しないような新口動物の形態様式が見られるため、なかなか解釈が進まないのである。 今週号でD-G Shuたちは、これまで知られていなかった、非常に原始的な有柄棘皮動物の化石を報告し、これをVetulocystida類と名づけた。この化石は中国南西部の昆明近郊にあるカンブリア紀前期(およそ5億3,000万年前)の岩から掘り出された。この岩からは、不思議な姿のvetulicolian類やyunnanozoan類など多彩な初期新口動物が見つかっており、注目に値する。 新口動物の初期進化史の空白部分はこのように新発見された不可思議な生物によって急速に埋まりつつあるが、我々のいる動物系統樹の枝の一番根元部分については、解明されるべきことがまだたくさん残っている。

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