Nature ハイライト

脳:概念を元に世界をつかむ

Nature 430, 6998

言語の発達前に、そして言語の根本に、概念あり。まだ自分で言葉を操ることのできない乳児は、大半の言語の音を受け入れる。これは、聞き取る能力によって決定される特徴である。しかし、母語以外の音の違いに対する感受性は、1歳になるまでに低下する。今回、S J HesposとE S Spelkeは、概念についても乳児特有の普遍的特性が存在するのではないかと考え、研究を行った。そもそもすべての乳児が普遍的に理解できる、認識に深く根付いた概念があるのか。また言語によっては、その概念が言語習得の過程で意味論的に特に把握しやすくなることがあるのだろうか。答えはともに、どうやら「イエス」のようだ。 Hesposたちは、一方が他方にはまりこんでいる2つの物体について、はまり方の「ゆるさ」と「きつさ」の概念に注目した。これらの概念は、韓国語では明らかだが、英語ではそれほどはっきりしていない。英語が話される環境で育てられた生後5か月の乳児は、2つの概念の違いを識別することができた。韓国語を話す成人は5か月児と同様に2つを識別できたが、英語を話す成人はできなかった。これらの結果から、言語の学習は、音と意味の既存の普遍的表現に言語形式を結びつけることで発達すると考えられる。

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