Nature ハイライト 遺伝:起源の古い遺伝的変異体 2010年3月4日 Nature 464, 7285 これまで知られていなかったタイプの遺伝的変異が、出芽酵母(Saccharomyces cerevisiae)に近縁なS. kudriavzeviiの研究で見つかった。ガラクトース利用遺伝子(GAL遺伝子)ネットワークの主要な要素は、サッカロミセス属のほとんどでよく保存されているが、S. kudriavzeviiの標準株は機能するGAL遺伝子をもたず、ガラクトースを炭素源として利用できない。今回の研究は、ガラクトースを利用できない日本産のS. kudriavzevii分離株と、ガラクトースを利用できるポルトガル産の分離株との違いに注目している。ゲノム解析から、日本株では大幅に変化した、機能をもたないGAL偽遺伝子が、ポルトガル株では機能をもったGAL遺伝子が、それぞれ存在することがわかった。この2つの代替的な状態は「平衡非連鎖遺伝子ネットワーク」(BuGNP)と名付けられた。これらの起源は非常に古いとみられ、S. kudriavzeviiが種として生じてからのほぼ全期間にわたって共存してきたらしい。 2010年3月4日号の Nature ハイライト 物理:量子計算キット 遺伝:起源の古い遺伝的変異体 細胞:蚊が匂いを選び出す仕組み 宇宙:銀河を形作るもの 材料:有機超伝導体 微生物:スリムでけちな微生物 進化:初期の草食性シレサウルス 発生:Hox遺伝子は多様性のもと 医学:ミトコンドリアの反乱 目次へ戻る