Nature ハイライト 細胞:蚊が匂いを選び出す仕組み 2010年3月4日 Nature 464, 7285 疾患を媒介する昆虫の多くは、宿主のありかを探るのに匂いの認識を使っているが、その分子過程はほとんどわかっていない。今回、サハラ以南のアフリカでの主要なマラリア媒介動物であるハマダラカの一種Anopheles gambiaeの匂い受容体タンパク質の全レパートリーが、内在性の匂い受容体を欠く遺伝子組み換えショウジョウバエ(Drosophila)という「empty neuron」系を用いて決定された。この受容体のほとんどは、さまざまな匂い物質に反応して広く活性化されるが、一部の受容体はもっと特異性が高く、1つあるいは少数の匂い物質に反応する。数十種類もの受容体がヒトの汗に含まれる化合物に強く反応するので、こうした受容体は、蚊の宿主探知を妨げたり、おとりの匂いを使ってトラップに追い込んだりする方法によるマラリア蔓延防止策の標的となるだろう。 2010年3月4日号の Nature ハイライト 物理:量子計算キット 遺伝:起源の古い遺伝的変異体 細胞:蚊が匂いを選び出す仕組み 宇宙:銀河を形作るもの 材料:有機超伝導体 微生物:スリムでけちな微生物 進化:初期の草食性シレサウルス 発生:Hox遺伝子は多様性のもと 医学:ミトコンドリアの反乱 目次へ戻る