Nature ハイライト

物性:量子スピン液体の特徴をつかむ

Nature 471, 7340

量子スピン液体と呼ばれるエキゾチックな物質状態の存在に関する理論予測は実験証拠により裏付けられているが、この新しい状態に関する基本的な疑問の多くには答えがまだない。低温で対称性が破れる通常の磁気秩序状態が量子ゆらぎの結果回避されると、磁気的に強く相互作用する絶縁体に量子スピン液体が生じる。今回、ミューオンスピン緩和と呼ばれる先端的な磁場測定技術を使って、量子スピン液体の典型的な例と広く認められている層状分子系κ-(BEDT-TTF)2Cu2(CN)3が調べられた。注入したミューオンを感度の高い局所磁気プローブとして使い、きわめて低い磁場をかけると、この系の磁気秩序を回復できることが示された。また、このスピン液体に対する複雑な相図が明らかになり、スピン液体相と磁性相の微妙な均衡が実証された。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度