Nature ハイライト 医学:マラリア原虫の代謝回路は環状じゃない 2010年8月5日 Nature 466, 7307 トリカルボン酸回路(TCA)は炭素代謝の中心となる「ハブ」であり、解糖、糖新生、呼吸、アミノ酸合成などの生合成経路を結びつけている。だが、熱帯熱マラリア原虫(Plasmodium falciparum)ではTCA代謝が解糖とほとんど切り離されており、根本的に異なる生産ラインに沿って組織化されていることが、今回示された。マラリア原虫では、グルタミンとグルタミン酸がTCA代謝の主要な炭素源であり、この経路は環状ではなく分岐型である。グルコース由来の炭素は、この経路には事実上存在していないといえる。この結果により、マラリア原虫属(Plasmodium spp.)の基本的な中心炭素代謝に関してずっと以前から知られている多数の現象の機序が説明され、抗マラリア治療介入の新たな標的が示唆される。 2010年8月5日号の Nature ハイライト 医学:血中脂質と心臓の関係 遺伝:海綿動物のゲノム解読 宇宙:星形成に狙いをつける 材料:マイナスが際立つメタ材料 進化:古代の南半球にいた「哺乳類」 生態:植物の多様性の根源 構造生物学:タンパク質構造予測をクラウドソーシング 医学:マラリア原虫の代謝回路は環状じゃない 目次へ戻る