Nature ハイライト
宇宙:星形成に狙いをつける
Nature 466, 7307
我々の銀河系の中心近傍にある、若くて大質量の星からなる星団は、星形成研究の最も重要な対象の1つである。現在、この目的に必要な高分解能と広視野を兼ね備えた赤外望遠鏡は、宇宙空間には存在しない。しかし理論的には、地上設置の望遠鏡でも、大気揺らぎの大きな部分を占める地表近傍の揺らぎのみ補正する高機能なグラウンドレイヤー補償光学系(GLAO)を備えれば、観測できるはずだ。今回、米国アリゾナ州ホプキンス山のMMT天文台の研究者たちが、複数レーザーガイド星の使用などの改良を行い、このようなシステムを実現した。球状星団M3の中心核の観測では、広視野でこれまでの2倍の分解能が得られた。さらに、望遠鏡を1回指向させるだけで星団全体を調べられる可能性もある。新たに開発されたこのGLAOパッケージをより多くの、そしてもっと大きな望遠鏡に導入すれば、星形成機構に関する新たなデータがどんどん得られるようになるだろう。
2010年8月5日号の Nature ハイライト
医学:血中脂質と心臓の関係
遺伝:海綿動物のゲノム解読
宇宙:星形成に狙いをつける
材料:マイナスが際立つメタ材料
進化:古代の南半球にいた「哺乳類」
生態:植物の多様性の根源
構造生物学:タンパク質構造予測をクラウドソーシング
医学:マラリア原虫の代謝回路は環状じゃない