Nature ハイライト 医学:血中脂質と心臓の関係 2010年8月5日 Nature 466, 7307 血液中の脂質濃度は、冠動脈疾患に対する主要なリスク因子であり、治療の標的ともなる。ヨーロッパ由来の10万人を超える人々を対象として行われた全ゲノム関連解析(GWAS)で、血中脂質と関連する95個の遺伝子変異が明らかになった。関連が認められる遺伝子座の中には、コレステロール代謝に関与するもの、コレステロール降下剤の標的として知られているものに加え、脂質の種類の正常範囲内での変動および脂質異常に寄与する新規遺伝子座が含まれている。1つ目の研究で、血漿低密度リポタンパク質コレステロールと冠動脈疾患の両方との関連が示された遺伝子座は、2つ目の研究でさらに詳しく調べられている。染色体1p13上のこの遺伝子座は、転写因子C/EBPが結合する部位を作り出し、肝臓でのSORT1遺伝子の発現を変化させる。マウス肝臓でSort1濃度を変化させると、血漿リポタンパク質値が変化することから、この遺伝子座の変異が心疾患に関連するわけを説明できそうだ。この知見により、ソーティリン経路が薬剤標的になる可能性が明らかになった。 2010年8月5日号の Nature ハイライト 医学:血中脂質と心臓の関係 遺伝:海綿動物のゲノム解読 宇宙:星形成に狙いをつける 材料:マイナスが際立つメタ材料 進化:古代の南半球にいた「哺乳類」 生態:植物の多様性の根源 構造生物学:タンパク質構造予測をクラウドソーシング 医学:マラリア原虫の代謝回路は環状じゃない 目次へ戻る