Nature ハイライト
Cover Story:進行中の化学反応:アト秒分光法で明らかにされた価電子のダイナミクス
Nature 466, 7307
化学反応は、分子軌道の価電子のダイナミクスによって引き起こされる。このような運動は、一般的にサブフェムト秒の時間スケールで進行し、リアルタイムで観測することは現在まで不可能だった。アト秒分光法(アト秒は10−18秒)は当初、ある量子状態から別の量子状態への電子遷移を追跡するのに使われた手法だったが、今回この技術が拡張され、クリプトンイオンの原子価殻中の電子波束(結合を形成する電子)の超高速(サブフェムト秒)運動を追跡できるようになった。この初の原理実証実験では単純な系が用いられているが、このタイプのアト秒過渡吸収分光法によって、物理的、化学的、生物学的特性を左右する、分子や固体物質中の基本的な電子運動が、最終的には明らかになると期待される。表紙は、アト秒ポンプ・プローブ測定から再現された、原子イオン内での価電子振動運動の一連のスナップショットである(Letter p.739, N&V p.700)。
2010年8月5日号の Nature ハイライト
医学:血中脂質と心臓の関係
遺伝:海綿動物のゲノム解読
宇宙:星形成に狙いをつける
材料:マイナスが際立つメタ材料
進化:古代の南半球にいた「哺乳類」
生態:植物の多様性の根源
構造生物学:タンパク質構造予測をクラウドソーシング
医学:マラリア原虫の代謝回路は環状じゃない