Nature ハイライト 細胞:方向転換を行う環 2010年8月19日 Nature 466, 7309 細菌の鞭毛繊維の回転は、細菌の運動の原動力である。この回転の方向によって、細菌が滑らかに前に進むか、とんぼ返りして進行方向を変更するかが決まる。鞭毛モーターは、鞭毛繊維を時計回りあるいは反時計回りに回転させるが、その方向は鞭毛のスイッチ複合体によって調節されている。複合体の構成要素の1つにFliGとよばれる環状のタンパク質があり、これが回転してトルクを生むことにより、モーターの方向が切り替えられる。鞭毛の回転数は毎秒数百回にもなるが、方向の逆転はミリ秒以下で起こり、非常に優れた装置といえる。今回、完全長のFliGの構造が決定され、回転方向の切り替えにかかわるコンホメーション変化が明らかにされた。 2010年8月19日号の Nature ハイライト 細胞:トポイソメラーゼの阻害 宇宙:オリオン星雲にみられる波状構造 物理:競合する圧力 物理:だんだん容易になるマルチフェロイック物質作製法 進化:協力と乱婚の関係 医学:結核のバイオマーカー 生化学:血栓形成を促進する「適応性のある結合」 細胞:方向転換を行う環 目次へ戻る