Nature ハイライト 脳:不安の原因 2011年5月19日 Nature 473, 7347 多数の人々が心的トラウマとなるような体験をするが、それによって、一見したところあまり影響を受けない人もいれば、心的外傷後ストレス障害を発症する人もいる。こういう個人差の原因と思われるものが、マウスを使った研究で見つかった。ストレス下では、セリンプロテアーゼのニューロプシンはEphB2とNMDA受容体の相互作用を調節することにより扁桃体での可塑性を誘導して、恐怖関連遺伝子であるFkbp5vの発現を引き起こす。ニューロプシンを欠損したマウスは、ストレスに対してこのような動的可塑性を示さない。この結果は、不安のような複雑な行動の現れに分子経路が重要であることを強調すると同時に、EphとNMDAの受容体が不安障害の治療標的となる可能性を示している。 2011年5月19日号の Nature ハイライト 細胞:哺乳類の遺伝子発現制御の定量化 遺伝:Tetタンパク質によるDNAメチル化の微調整 宇宙:孤独な惑星が生まれた理由 物理:重たい反物質の検出 地球:地球内核の融解 進化:無肢化への2つの道筋 生態:絶滅速度を解明する 脳:不安の原因 植物:植物の根の細胞壁の構造 目次へ戻る