Nature ハイライト 生化学:DNAポリメラーゼの構造 2010年6月24日 Nature 465, 7301 紫外線照射を受けると、皮膚細胞のDNAに損傷が生じ、DNA複製が阻害されて変異が生じ、がんの発生につながることがある。体がこのような損傷に対処する方法の1つに、特殊なDNAポリメラーゼの働きによって損傷を回避するというものがある。DNAポリメラーゼη(Polη)は、チミン二量体を含むDNAの複製を行って損傷に対処しており、この酵素が不活性化されると、皮膚疾患であるバリアント型色素性乾皮症になり、皮膚がんの発生率が高くなる。今回、2つの研究グループが、Polηの結晶構造を決定した。調べられたのは酵母のPolηとヒトPolηの触媒ドメインで、これらの構造から、かさばるチミン二量体がPolηの非常に大きな活性部位にうまくおさまるようすと、ほかのポリメラーゼにはみられない相互作用によって損傷が安定化される仕組みが明らかになった。また、色素性乾皮症患者にみられるミスセンス変異によって、ポリメラーゼが損傷DNAを正常なB型に保つ能力を失うことがわかった。News & ViewsではS BroydeとD Patelが、Polηの構造が、ほかのYファミリーDNAポリメラーゼの構造とどのように似ているかを論じている。 2010年6月24日号の Nature ハイライト 化学:新しいアミド合成方法 遺伝:偽遺伝子の役割 生化学:DNAポリメラーゼの構造 宇宙:ホットジュピターの重さを量る 物理:シリコン中の原子を操作する 海洋:海洋の硝酸塩は上昇する 生態:餌探しのパターン 神経:神経活動の司令塔 目次へ戻る