Nature ハイライト 物理:対称性の破れ 2004年6月3日 Nature 429, 6991 まもなく電弱対称性の破れの謎が解明できるだろうとE WittenがConceptsで述べている。かつて質量ゼロの光子が媒介する電磁力は、重いWボソンとZボソンによって伝達される弱い核力との見分けがつかなかった。ところが、宇宙の初期に対称性が破れてW粒子とZ粒子に質量が生じ、その活動が原子核に閉じ込められ、弱い力と電磁力とは永遠に分離した。しかし、対称性が破れた原因は不明瞭なままで、実験的にも検証されていない。その真相は、未だ捉えどころのないヒッグス粒子と関わっているかもしれない。ヒッグス粒子の性質がわかれば、原子核より小さな隠れた次元が存在する可能性から、宇宙の最終的な運命を決定する「ダークエネルギー」の存在まで、多くのことが理解されるだろう。フェルミ国立加速器研究所(シカゴ)のテバトロン加速器は、まもなくこれらの謎の探究を行えるだけの能力を備えるようになりそうだ。また、CERN(欧州合同素粒子原子核研究機構)で2007年に稼動を始めるLHC(大型ハドロン衝突型加速器)も問題解決に十分な能力を持つと考えられる。 2004年6月3日号の Nature ハイライト ナノテクノロジー:光を操る 神経:ニューロンにも若気の至り 生態:林冠で引き上げられる生物多様性 物理:対称性の破れ 進化:ラットとマウスの違いの決め手は選択 生態:愛のアタックを雌雄で途中交代 目次へ戻る