樹冠の連なる森林の林冠部は、地球全体の陸上バイオマスの90%と大気とのやりとりの場であり、ここには世界で最も存続が危惧され、ほとんど知られていない生態系が含まれている。今回M D F EllwoodとW A Fosterは、ボルネオの森林の林冠にすむ無脊椎動物(昆虫その他の虫)のバイオマスを見積もり評価した。2人は評価にあたって、森林高木の樹上に生える着生植物(シダ類やブロメリア類などの植物)と一緒に生活している動物に特に着目した。すると、シダの大きさと、そのシダにすみ着いている無脊椎動物の総重量の間にははっきりした相関関係があることがわかった。着生植物にすむ動物相は、多雨林生態系の要素としては無視されてきたが、2人の報告によると、こうしたものも計算に入れることで、多雨林の林冠全体に含まれる無脊椎動物のバイオマス総量は、従来の算定値の2倍を超える値になるという。