Nature ハイライト 生態:愛のアタックを雌雄で途中交代 2004年6月3日 Nature 429, 6991 大部分の動物では、雌は雄に対する好みがうるさく交配に気乗り薄で、そんな雌の気を引こうと雄同士が競争する。こうなる理由については盛んに議論されており、今回の新しい研究がこれにさらに一石を投じてくれそうだ。E Forsgrenたちが、海にすむハゼ科魚類のトゥースポッテドゴビー(学名Gobiusculus flavescens)では、雌雄の性的役割に非常に可塑性があることを示したのである。この魚は、繁殖期の初めには雄が雌をめぐって激しく競争するが、この激しい争いが雄たちに災いして、繁殖期を経るうちに雄の数は10分の1に減ってしまう。すると、雄が極端に足りなくなるため雌は選り好みをあまりしなくなり、残っている雄の気を引こうと雌同士で競争するようになる。これは、脊椎動物で性的役割の移行がわかった初めての例だという。こうした例は昆虫であるキリギリスの仲間ですでに見つかっており、この場合、雄同士と雌同士のどちらの競争が激しくなるかは食物の量によって決まる。 2004年6月3日号の Nature ハイライト ナノテクノロジー:光を操る 神経:ニューロンにも若気の至り 生態:林冠で引き上げられる生物多様性 物理:対称性の破れ 進化:ラットとマウスの違いの決め手は選択 生態:愛のアタックを雌雄で途中交代 目次へ戻る