Nature ハイライト

神経:ニューロンにも若気の至り

Nature 429, 6991

神経系の細胞であるニューロンの性質は2つしかない。周りのニューロンを行動に駆り立てる「興奮性」か、周囲のお祭り騒ぎに水をさす「抑制性」かのどちらかである。あるニューロンがこのどちらになるかの確定は、その初期発生における重要な節目といえる。ニューロンのこういう「気質」は一体どうやって決まるのか、その仕組みは熱心に研究されてきている。 神経細胞の「気質」は、ある程度までは遺伝によって決まっている。ところが、それよりはるかに大きな要因が存在するらしいのである。L N Borodinskyたちは、結局のところ最も直接的な関わりがあるのは、ニューロン発生中の活動の程度であるらしいことを明らかにした。変わっているのは、発生中のニューロンの最終的な運命が、細胞の若い頃のふるまいとは相当矛盾している可能性がある点である。ニューロン集団のふるまいを各細胞の活動の指標として捉えると、若い頃に興奮しやすく落ち着きのなかったニューロンは長じて鈍感で「抑制性」となり、臆病でおとなしかったニューロンは遅ればせながら反逆的になって「興奮性」となるようなのである。

目次へ戻る

プライバシーマーク制度