Nature ハイライト 医学:新規の抗糖尿病薬 2010年7月22日 Nature 466, 7305 ロシグリタゾンやピオグリタゾンなどのチアゾリジンジオン系抗糖尿病薬は、核受容体PPARγを介して作用することが知られているが、これらの薬剤のもつインスリン感受性改善作用の仕組みには、いまだ解明されていない点がいくつかある。Choiたちは今回、マウスに高脂肪食を与えることで誘発した肥満に、Cdk5によるPPARγのリン酸化が関連することを報告している。抗糖尿病作用をもついくつかのPPARγリガンドは、Cdk5のこの作用を直接阻害し、それによって遺伝子発現をもっと正常に近い非糖尿病型パターンに維持させる。さらにヒトでは、ロシグリタゾンによるPPARγリン酸化阻害と、その抗糖尿病作用とが密接に関連することが明らかになった。この特異な薬理学的特性から、肥満や糖尿病の発症機序とCdk5–PPARγとの関連性や、これらの疾患に対するPPARγリガンドの治療効果、また心疾患と糖尿病のリスクを増大させる複合的疾患である代謝症候群に対するこれらリガンドの治療効果についての新規モデルが示唆される。 2010年7月22日号の Nature ハイライト 医学:新規の抗糖尿病薬 脳:やめるべき時を知る 宇宙:はるか遠くの宇宙の構造 宇宙:地球のものに似た、月のアパタイト 材料:グラフェンのリボンを作る 気候:炭素のシンクとしての湖沼 進化:フェロモンで生じた隔たり 細胞:長寿因子DAF-16d/f 目次へ戻る